
こんにちはHitouchの「T」です。
画像は製薬メーカーの売上ランキングです。
1位:ロシュ
2位:ファイザー
3位:アッヴィ
・・・
製薬メーカーにはそれぞれ「得意分野」があります。
「循環器」「呼吸器」「ワクチン」「感染症」などです。
僕が注目しているのは「オンコロジー(がん)」領域です。
>>>【ヘルスケアセクター】必見!がんを分かりやすく説明してみるの話
オンコロジー領域に絞って製薬メーカーをみてみると、全く別の見え方になります。

このように、オンコロジー領域だけで抽出すると、製薬メーカーのラインナップが大きく変わります。
僕はこれまで「オンコロジー領域」で活躍する製薬メーカーについて、いくつか記事を書いてきました。
>>>【MRK銘柄分析】キイトルーダが売れる理由を分かりやすく解説する‐第1話‐
>>>【PFE銘柄分析】世界最大級の製薬メーカー!Pfizer/ファイザーの話
>>>【速報!BMY・小野薬品保有者喚起】オプジーボが中国で肺がんの承認を取得!!
今回焦点を当てる製薬メーカーは「AZN:アストラゼネカ」です。
Contents
【AZN】アストラゼネカ銘柄分析

基本情報
アストラゼネカはイギリスの製薬メーカーです。
ADRとして米国株で取引できます。
配当利回り
5.37% *)2018年7月10日
利回りが5%を越えています。
得意領域

「がん」「循環器・代謝」「呼吸器」がアストラゼネカの得意とする領域です。
イレッサ・タグリッソ・カソデックス・シムビコート・クレストール・・・
多くの製品が市場で活躍しており、製品名をあげれば「キリ」がありません。
デュルバルマブ/イミフィンジ
今回の話の中心は、こちらの「デュルバルマブ」という製品です。
*)商品名が「イミフィンジ」です
デュルバルマブは「免疫チックポイント阻害剤」というカテゴリーに分類される抗がん剤です。
抗がん剤についての詳細は以下の記事をご参照下さい。
>>>【ヘルスケアセクター】保有者必見!抗がん剤を分かりやすく説明してみるの話
このデュルバルマブが日本での承認を取得しました。
AZNのデュルバルマブが肺がん治療薬として日本に上陸
デュルバルマブは日本国内での承認を取得しました。
適応は「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法(CRT)後の維持療法」です。
>>>添付文書
この適応は症例数が限られる極めて狭い適応です。
ですが、ここから適応を拡大していくことが予想されます。
肺がんの分類

肺がんは「小細胞癌」と「非小細胞癌」に分類されます。
今回の適応症は「非小細胞がん」という事になります。
切除不能・局所進行とは
「切除不能な局所進行の非小細胞肺がんにおける根治的化学放射線療法後の維持療法」
切除不能・局所進行とは、「手術ができないステージⅢ」という事になります。
手術ができないステージⅢの非小細胞肺がんには、通常「根治的化学放射線療法」という治療が行われます。
この治療は「根治」を狙ったものです。
つまり「治そう」としているわけです。
ですがそう簡単に治りません。
根治的化学放射線療法を行っても、9割近くの症例で病勢が悪化してしまう事が知られています。
ここの「病勢悪化」をなんとか食い止められないか?
ここで活躍するのが、「デュルバルマブ」です。
切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後 の維持療法
この一見意味不明な適応を分かりやすく言い換えると、
手術のできないステージⅢの非小細胞肺癌に対して、根治を狙った化学放射線療法を行い、その後の病勢を悪化させないために「デュルバルマブ」を使う
という使用方法です。
PACIFIC試験
これがデュルバルマブの効果が証明された試験です。
>>>PACIFIC試験詳細
プラチナ系抗がん剤による根治的同時化学放射線療法後に進行を認めなかったステージIII非小細胞肺がん患者(N=713人)が対象。
デュバルマブ単剤療法を投与する群(N=473人)とプラセボ単剤療法を投与する群(N=236人)無作為に振り分ける。
主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)。
第IIIの国際多施設共同二重盲検下の第III相試験。
今まで「根治的同時化学放射線療法後に進行を認めなかったステージIII非小細胞肺がん患者」に行われる治療は「経過観察」でした。
とりわけ有効な治療方法がなく、「増悪があればすぐに対応できるように」観察するという治療方法が行われていました。
そこに登場したのが「デュルバルマブ」です。
無増悪生存期間を延長
主要評価項目である「無増悪生存期間」
デュルバルマブ(16.8ヶ月)VSプラセボ(5.6ヶ月)
圧倒的に「デュルバルマブ」の勝ちです。
この結果を受けて、デュルバルマブが肺がん治療に名乗りを上げることになりました。
そして2018年7月に日本上陸です。
免疫チェックポイント阻害薬の熾烈な争い
中外のテセントリク
そしてAZNのイミフィンジ・・・
その他の製薬企業からも「免疫チェックポイント阻害薬」が登場することが分かっています。
この分野(イムノオンコロジー)も既に、市場ではレッドオーシャン化しているようなイメージがありますが、臨床上は意外とそんな事はないの「かも」しれません。
適応バイオマーカーや適応疾患、併用薬や副作用など、個々の薬剤の特性を活かして「予後」の改善に繋げられるように、うまく棲み分けていって欲しいと願っています。
抗がん剤治療の目的は「治癒」や「延命」により「予後を改善する」事にあります。
熾烈な闘いの結果、「予後」という「報酬」が、心優しい人々のもとに届くことを祈っています。
Sincerely,
Hitouch「T」
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